次世代のeラーニング規格

Project Tin Canとは

Project Tin Canとは、ADLから機会を得て米国のRustici Software‎社が進めている、次世代のeラーニング規格を研究するプロジェクトです。eラーニングの規格には、SCORMがありますが、できてから10年を超える規格です。SCORM2004の次は、SCORM2.0と呼ばれるものがありましたが、なかなか全容が出ることがなく、停滞している感じがありました。

ADLは、将来の学習体験を支援するには、いままでのSCORMを発展させるより、新しい技術を開発して、進化したデザインモデルをサポートする必要があると考えました。

Project Tin Canは、Tin Can APIとして、2012年4月5日にADLのウェブセミナー(Tin Can API Kickoff Webinar)で次世代のSCORMとして紹介されました。

Tin Can APIが、本当に次期SCORMになるかは、何とも言えませんが、期待して良いのではないでしょうか。少なくとも、どういったことを実現しようとしているのか、その概要を知ることができます。

Rustici Software‎は、eラーニングの専門企業でLMSのSCORMクラウドなどの開発を行っています。また、サムトータルのSCORMの実装に関わった人物がいたり、ADLのテクニカルワーキンググループに参加するなど、SCORMの進化にとても貢献してきました。そういった意味では、ADLと大きなつながりをもった企業だと言えます。


Tin Can APIとは

古い仕様で苦しんでいる多くの問題を解決することができます。また新しい機能、新しいビジネスケース、およびコンテンツを扱う新しい方法を追加しています。Tin Can APIは、過去10年間のeラーニングの経験を、これまでの技術進歩に合わせて融合したものです。

Tin CanAPIの核は、非常にシンプルな文構造です。
Actor(主体)、verb(動作)、object(対象)に分けて考えます。
誰が、何をどうするのか?という風に物事を分解して考えていくようです。

コンテンツは、もはやSCOである必要がなくなり、LMSと通信する方法も変わります。これは、伝統的なLMSを利用したeラーニングからの大きな脱却です。コンテンツは、LMSに格納する必要がなくなります。つまり、LMSからコンテンツを配信しなくても良いのです。単独でLMSの外でコンテンツを動作させても良いことになります。

そして、ブラウザ上で動作させる必要もなくなります。モバイルアプリや、Windowsアプリケーションといったさまざまな、アプリケーションプラットホームで動作させることができるようになります。

将来LMSは、さまざまなプラットホームから学習完了などのステートメントをLMSに送信する仕組みになり、多くの学習情報のやり取りを行う集積所になるでしょう。このようなLMSをLRS(Learning Record Store) と呼びます。