LMSとデータベースの移行

データベースのLMS依存

SCORMは、さまざまなLMSで同一の学習コンテンツを動かすことができます。それを相互運用性といい、LMS依存を無くすSCORMのメリットとされています。

ここで少し考えてみてください。これでLMS依存がなくなったと言えるのでしょうか。学習コンテンツを作る立場からすれば、無くなったと言えるかもしれませんが、LMSを運用する立場の人は、SCORMに対応しているLMSだからといって、ほいほい別のLMSに移行することは可能でしょうか。既に運用フェーズに入っている場合、データベース上のデータを移行できるかは、大きな問題になるでしょう。

SCORMは学習データの記録形式を問わない

SCORMの規格は、LMSと学習コンテンツとの間にルールをもうけたものです。規格に沿っていれば、LMSはどのようなプログラム言語、データベースで作られていても構いません。A社 LMSからB社 LMSに移行するさい、学習コンテンツは、移行できるかもしれませんが、データベースに格納されている学習進捗などの学習データは移行できるでしょうか?

もし方法論を考えれば2つあります。

  • LMSには、学習データのエクスポート機能が付いていて、それを利用する。
  • LMSのデータベースを調査し必要なデータを抽出する。

どちらも、頼りない方法論ですね。LMSにエクスポート機能が付いていなければ、CSVファイルなどに落とすことはできません。そして、ベンターが設計したデータベースのテーブルを調査することなんて、あまりしたくないですよね。そもそも、データベースがアプリケーションに組み込みDBであったり、クラウド利用でのLMSは、データベースそのもの見ることはできないでしょう。移行先のLMSも同じようにインポート機能が付いているか問題になります。

このことから、SCORMに対応したLMSであっても、LMS間の学習データの移行は、非常にやっかいです。オープンソースLMSなら、ちょっと挑戦してみようという気も起きるかもしれませんが、移行元、移行先のLMSに対して移行可能かどうかを見極める必要があるでしょう。

視点の違いからSCORMは、次のことが言えるでしょう。

  • コンテンツ視点 – さまざまなLMSで動作することがメリットとなる。SCORMと言えばコンテンツ視点が多い。
  • 運用視点 – SCORMだからといっても、データベース上の学習データが移行できなければ、メリットはあまり感じられない。

LMSの移行(引越し)は、コンテンツだけ移行できても不十分です。データベースに登録された学習者、受講履歴などを「どうするのか?」考える必要があります。