Tin Can API とは何ですか?

※ この記事は、CC BY 3.0のもと、tincanapi.com の概要ページの一部を翻訳したものです。意訳のため正確さを求める場合、原文を読んでください。
(原文) http://tincanapi.com/overview/

 Tin Can APIは、(たまに Experience API や xAPIとも言われます)、eラーニング技術の最新規格で、個人が持つ幅広い経験(オンライン・オフライン双方の)データを収集することを可能にします。このAPIは、多くの技術を用いて、個人やグループのアクティビティデータを一貫した形式を用いて収集します。Tin Can のシンプルな語彙を用いて、この一連のアクティビティを保存し共有することで、全く異なったシステムと安全に通信することが可能になります。

 以前の仕様は、難解で制限がありましたが(Tin Can vs SCORMを参照)、Tin Can APIは単純化されており、柔軟性があります。それは、過去にあった多くの制限を取り除いたものです。Tin Can APIの活用例として、モバイルラーニング、シミュレーション、仮想世界、シリアスゲーム、現実世界のアクティビティ、体験学習、社会学習、オフライン学習、そして協調学習などがあり、上手くやり取りすることができます。

 重要なことは、Tin Can APIが私達(Rustici Software社)の所有物ではないことです。ADLは仕様作成の幹事役であり、ADLが私達に開発を依頼してきたので、この部分をよく知っているだけです。Tin Can APIは、コミュニティを前提としたもので、実用はフリーです。

Tin Can APIはどのように動くのか

  • 人は、他者とのやり取りや、コンテンツなど様々なところから学びます。こうした行動は、どこでも起こり得るもので、その後の学習行動のきざしとなります。こうしたこと全ての行動を Tin Can API で記録することができます。
  • アクティビティを記録する必要がある場合、アプリケーションが「主体」「動作」「対象」の形式、あるいは「I did this(私はこれを行った)」という形式の、定まったメッセージが、Learning Record Store(LRS)に送られます。
  • Learning Record Storeは、アプリケーションで作られたメッセージ全てを記録します。LRSは、こうしたメッセージを他のLRSと共有することができます。LRSは独立して存在するもの、LMSに組み込まれているものがあります。

Tin Can APIの自由度

  • ステートメントの自由度 : 主体、動作、対象を用いた「ステートメント」の構造は、利用者のほぼ全てのアクティビティを記録できます。参考:「I did this.(私はこれをした)」
  • (学習 / 行動)履歴の自由度 : Tin Can APIは、LRS同士の通信を許可しています。LRS同士は、データや記録をお互いに共有することができます。そうすることで、あなたの経験は一つのLRS(または組織)から他のLRSに伝播されていきます。学習者は、その中の個人の学習情報を、自身の「personal data lockers(クラウド上の様々な情報を格納する場所)」に持つことができます。
  • デバイスの自由度 : 全ての利用可能なデバイスに、Tin Can APIステートメントを送ることができます。(携帯電話、シミュレーション、ゲーム、CPR(心肺蘇生法)のダミー、その他いろいろ)ネットワークは常に接続していなくてもよく、随時接続できれば問題ありません。
  • 学習ワークフローの自由度 : 学習時のイベントトラッキングは、1つのLMS内で起動・終了する必要がありません。学習者が始めたいと思った場所であればどこでも、どのデバイスを使っても開始できます。利用者のコンテンツは、1つのLMSに縛られることはありません。