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Tin Can API

シミュレーションとシリアスゲーム

シミュレーションやシリアスゲームは、eラーニングで用いられることがあり、トラッキング、そしてレポート機能のほとんどは、それらが動く独自システムの中だけに完結されるものでした。

Tin Can APIは、シミュレーションとシリアスゲームに、Tin Can APIをサポートすれば、どんなLRSでも、トラッキングができるようになる新たな光を当てました。

これは競争を広げ、コンテンツ制作者、学習機関、学習者により多くの可能性を広げます。

Tin Can APIは、シミュレーションやシリアスゲームの性能を向上させるために、特定のレポーティングや、トラッキングの処理をしている訳ではありません。

いくつかの処理をあげると

  • 分散コンテンツ :
    シミュレーションやゲームは、それぞれ独自のサーバー上に置かれ、ステートメントを外部のLRSへ送ることができます。
  • 複数の学習者とチームベースの学習 :
    マルチプレイヤーゲームとシミュレーションは有効です。データは、グループに重要な情報を示し、グループ全体にレポートします。
  • Tin Can APIに準拠したアクティビティは、ブラウザの外で多くのシミュレーションとゲームに対応して動作します。また、アクティビティはブラウザセッションの制約を受けないため、非常に多くのデータをLRSへ送信することができます。
  • インストラクターとのやりとり :
    インストラクターは、シミュレーションが行われているときに、やり取りをしたい場合や、シミュレータで実行中のシナリオを変えたいとき、有効です。しかし、そのようなことが起きた場合、直接的な方法は定義しませんでした。それは、ユーザ定義変数を利用することで、対処できるからです。
  • ユーザー定義変数 :
    もっとも自由に利用できる場所です。フライトシミュレータでは、現在のリアルタイムの風速を利用したり、ビジネストレーニングでは、先月の総収入を自動的に引き出し、どのような素材であっても、シミュレーションやゲームなどダイナミックなトレーニングに、実在するデータを利用することができます。
  • 古いeラーニングの仕様は、シミュレーションやゲームをトラッキングする方法について固有な問題を抱えています。それは、ゲームやシミュレーションは、よく長時間プレイされるため、同じアクティビティが何度も実行されることです。The Tin Can APIは、古いeラーニングの仕様では不十分なこの分野で、成果をあげるでしょう。

現在、本当の意味では、リアルタイム機能を提供していませんが、それには理由があります。さまざまなことが、本当にリアルタイムで処理できるようになるには、LRSに相当無理な負担がかかるでしょう。一般的なWebサーバで動作させるには、とても費用がかかり、難しいことです。


※ この記事は、CC BY 3.0のもと、Rustici Software 社の記事を翻訳したものです。
http://scorm.com/project-tin-can-phase-3-simulations-and-serious-games/

NoraUsagiメモ:

アイキャッチの写真は、フランスのBreakAway社のシリアスゲーム、臨床技能 訓練医療専門家のための仮想学習空間 (Tin Can APIを利用しているわけではないです)

Tin Can API

LMSで開始されない学習

Tin Can APIの特徴は、LMSから学習を開始しなくても良いことです。実際、LRSは、あらかじめアクティビティやアクター(学習者)が関わっている認識を持つ必要さえありません。

アクティビティが完了すると、アクティビティは、LRSにステートメントを送信します。
LRSは、ステートメントを記録して、そのデータポイントの内容により、activity creator経由で通信を行います。

これは、いくつかの新しい(そしてとても興味深い)ユースケースが広がります。

  • ユーザーは、行われた学習を報告するためにブックマークレットを使用することができます。
  • ユーザーは、自分の学習を開始することができて、その学習はLRSに報告されます。
  • ユーザーに割り当てられていないものでも、インターネット上のものは何でも、経験したとLRSに報告することができます。
  • インストラクターは、LMSを介さず、ユーザーに直接アクティビティを送ることができます



※ この記事は、CC BY 3.0のもと、Rustici Software 社の記事を翻訳したものです。
http://scorm.com/project-tin-can-phase-3-learning-not-initiated-in-an-lms/

NoraUsagiメモ: 学習コンテンツの配布は、LMSを経由せず、CD-ROMで配布しようと何でも良くなり、LRSと
の通信は、activity creatorというのが、利用されるらしいです。

Tin Can API

ユーザー定義変数


簡単に言えば、ユーザー定義変数は、コンテンツの中で動作する動的な情報のことです。
ユーザー定義変数を取り入れるには、2つの方法があります。

1つは、アクティビティが利用する外部情報をLRSに取り入れる方法です。
どのような使い方ができるかいくつか例を示すと

  • リアルタイムに銘柄コードを取り入れる株式市場のコース
  • 天気予報のフィードから、実際の風速を利用するフライトシミュレータ
  • 可変的な情報(スタッフの名前、休日スケジュールなど)がもたらす企業のための「オンボーディング」コース
  • フィードやデータベースからリアルタイムに統計情報を利用する、スポーツのコース

ユーザー定義変数を利用するほかの方法は、後でレポーティングで利用できる変数として、学習やアクティビティに関する情報を格納することです。上記の例から、株式市場の数字や風速など、これらの変数は、通常のステートメントには属さない任意のデータとなります。ほかの例として、学生が必要としている店舗の地域データを評価することと、それらの変数に基づいてレビューコースを提供しています。

このように、ユーザー定義変数の活用事例は数多くあります。



※ この記事は、CC BY 3.0のもと、Rustici Software 社の記事を翻訳したものです。
http://scorm.com/project-tin-can-phase-3-user-defined-variables/

NoraUsagiメモ: LRSに対応したコースウェアのコンテンツは、コンテンツ外部の情報を取り入れることができ、その情報をLRSに、ユニークな変数として保存することができるという意味だと思います。

Tin Can API

SCORMランタイム·データにアクセスしたい


多くのeラーニングの仕様は、コンテンツの一部が完了した後、ランタイム·データが保持される必要がありません。LETSI RTWSは、試行をトラッキングすることができますが、実際のところ、Tin Can APIでできることとは、離れたものです。

Tin Can APIは、LRSにどんなものでも保存することができ、そして容易にアクセスできます。これにより、詳細をレポートするレベルが全体的に引き上がります。

LRSは、どのようなアクター(動作主)、バーブ(動作)、あるいはオブジェクト(目的)でも、それがしようとする、任意の組み合わせでクエリーを実行します。

引き出せる詳細の量は、アクティビティー・ジェネレーターが生成を選ぶステートメントの複雑さによってのみ制限されます。ステートメントがもっと複雑になれば、より多くのデータポイントが生成されます。以前と比べてかなり多大な量のデータを保存できるようになっています。異なるユーザーレベルを決定し、アクセスするユーザーがどの程度のデータアクセスを持てるかは、LRS次第となります。

以前では、できなかったことが、このデータでできるようになったことはたくさんあります。1つの例としては、コース全体に対して、特定の質問やセクションに関したレポートを引き出すことができます。



※ この記事は、CC BY 3.0のもと、Rustici Software 社の記事を翻訳したものです。
http://scorm.com/project-tin-can-phase-3-i-want-access-to-scorm-runtime-data/

Tin Can API

インターネットブラウザの必要性の排除


Tin Can APIは、インターネットブラウザを排除することができます。これにより、ユーザーがどのようなコンテンツを経験するのか、そしてコンテンツがどのようなものか、多くの可能性が広がります。

ネイティブモバイルアプリケーション、シミュレータ、そしてTin Can APIに準拠したシリアスゲームを作成することは簡単です。ソフトウェアは、正しくセンテンスを送信できるように設定し、システムはネットワークに接続されていこと。(または、少なくともときどき接続されていること。)

ブラウザの必要性を排除するTin Can APIのソリューションは、シンプルですが、非常に強力です。



※ この記事は、CC BY 3.0のもと、Rustici Software 社の記事を翻訳したものです。
http://scorm.com/project-tin-can-phase-3-removal-of-the-need-for-an-internet-browser/

NoraUsagiメモ: LMSのコースウェアコンテンツはブラウザ上で動作することが前提であり制約でした。ブラウザを使用してもしなくても構わないというソリューションは、一歩進んだと言えるでしょう。

Wiiなどの端末専用の学習アプリとLMSのブラウザコンテンツは、別物という印象がありましたが、内部でLRSに接続できれば、その垣根がなくなり、学習データの共有を取ることも可能です。LRSは、表には顔を出さない黒子として立ち振る舞うこともできそうです。

Tin Can API

コンテンツの配信、クロスドメインでの配信

従来のeラーニング仕様の欠点は、LMSの外側にコンテンツをホストすることができました。いくつかの回避策がありますが、Tin Can APIのようなものなく、どれも問題は解決には至りません。

Tin Can APIの特徴は、アクティビティがLRSの外で動作することです。これは、多くの新しい可能性とビジネスケースに広がりが出てきます。

  • もうLMSにコースウェアをインポートする必要はありません
  • コンテンツ制作者(アクティビティの提供者)は、コンテンツを完全に制御できます。
  • アクティビティを修正(誤植を直したり、質問を変えたり)したとき、コンテンツが動作しているLMSに、修正版を送る必要はありません。
  • アクティビティに利用料金を支払うならば、相応のアクセスを制御をして限度を超えるか、支払いを止めれば、利用を停止します。
  • アクティビティは、同じリポジトリに格納する必要はありません。アクティビティの提供者は、さまざまな場所から、コンテンツを取り出すことができます。
  • アクティビティは、「コンテンツ」である必要はありません、どのような学習形態でも構いません(昔ながらの教室スタイルでも)



※ この記事は、CC BY 3.0のもと、Rustici Software 社の記事を翻訳したものです。
http://scorm.com/project-tin-can-phase-3-distribution-of-contentcross-domain/

Tin Can API

シンプルである必要があります

次世代の仕様を調査するうえで重要な側面はシンプルであることです。
従来のeラーニングの規格は複雑なため、準拠するために膨大な時間とコストが掛かります。
また、多くの能力を求められました。

残念ながら、シンプルさとパワーは、一般的にソフトウェアの環境では、相伴わないものですが、解決策を見つけたと考えています。

Tin Can APIは、SCORMより遥かに簡単で、とてもシンプルなAPIです。

  • もうJavaScriptを扱うことはありません。
  • アクティビティとLRSの通信処理の複雑さは、大幅に軽減されます。(少ないAPI呼び出し)
  • それ以上に必要なマニフェストファイルや、複雑なファイル構造がありません。
  • コンテンツ(アクティビティ)には、複雑な要件はありません。「私はこうしました」というステートメントの送信ができれれば良いだけです。
  • アクティビティは(LRSの外側で)単独で実行されるので、アクティビティやLRSによって満たさなければならない、ユーザーインターフェイスの要件はありません。 — アクティビティは、単独で存在して、LRSにステートメントを伝えます。

より複雑なステートメントの例は次のようになります。

[Somebody] says that [I] [did] [this] in the context of [ _____ ] with result [ _____ ] on [date].



※ この記事は、CC BY 3.0のもと、Rustici Software 社の記事を翻訳したものです。
http://scorm.com/project-tin-can-phase-3-it-needs-to-be-simple/

NoraUsagiメモ: SCORM2004の普及が進まない理由として、仕様が複雑なことが1つあります。Tin Can APIは、必要あれば、シンプルな動作の組み合わせで高度な動作を実現しようというのが、コンセプトだと思います。

Tin Can API

次世代のeラーニング規格

Project Tin Canとは

Project Tin Canとは、ADLから機会を得て米国のRustici Software‎社が進めている、次世代のeラーニング規格を研究するプロジェクトです。eラーニングの規格には、SCORMがありますが、できてから10年を超える規格です。SCORM2004の次は、SCORM2.0と呼ばれるものがありましたが、なかなか全容が出ることがなく、停滞している感じがありました。

ADLは、将来の学習体験を支援するには、いままでのSCORMを発展させるより、新しい技術を開発して、進化したデザインモデルをサポートする必要があると考えました。

Project Tin Canは、Tin Can APIとして、2012年4月5日にADLのウェブセミナー(Tin Can API Kickoff Webinar)で次世代のSCORMとして紹介されました。

Tin Can APIが、本当に次期SCORMになるかは、何とも言えませんが、期待して良いのではないでしょうか。少なくとも、どういったことを実現しようとしているのか、その概要を知ることができます。

Rustici Software‎は、eラーニングの専門企業でLMSのSCORMクラウドなどの開発を行っています。また、サムトータルのSCORMの実装に関わった人物がいたり、ADLのテクニカルワーキンググループに参加するなど、SCORMの進化にとても貢献してきました。そういった意味では、ADLと大きなつながりをもった企業だと言えます。


Tin Can APIとは

古い仕様で苦しんでいる多くの問題を解決することができます。また新しい機能、新しいビジネスケース、およびコンテンツを扱う新しい方法を追加しています。Tin Can APIは、過去10年間のeラーニングの経験を、これまでの技術進歩に合わせて融合したものです。

Tin CanAPIの核は、非常にシンプルな文構造です。
Actor(主体)、verb(動作)、object(対象)に分けて考えます。
誰が、何をどうするのか?という風に物事を分解して考えていくようです。

コンテンツは、もはやSCOである必要がなくなり、LMSと通信する方法も変わります。これは、伝統的なLMSを利用したeラーニングからの大きな脱却です。コンテンツは、LMSに格納する必要がなくなります。つまり、LMSからコンテンツを配信しなくても良いのです。単独でLMSの外でコンテンツを動作させても良いことになります。

そして、ブラウザ上で動作させる必要もなくなります。モバイルアプリや、Windowsアプリケーションといったさまざまな、アプリケーションプラットホームで動作させることができるようになります。

将来LMSは、さまざまなプラットホームから学習完了などのステートメントをLMSに送信する仕組みになり、多くの学習情報のやり取りを行う集積所になるでしょう。このようなLMSをLRS(Learning Record Store) と呼びます。