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moodle

Moodle2.3 SCORM1.2 SCORM2004 HelloWorldコンテンツの起動

Moodleで、SCORM1.2、2004のコンテンツが動作するか確認してみましょう。ここでは、簡単なコンテンツ(HelloWorldコンテンツ)を動作させるところまでを見てみます。

SCORM HelloWorldコンテンツの動作

  • 「HelloWorld」の文字列を表示する。
  • SCOが起動したとき得られる、Initializeの戻り値を表示する。

HelloWorldを表示しただけでは、ぱっとみアセットと区別が付かない(面白くない)ため、Initializeの戻り値を取得します、これにより、ランタイム環境に接続できたかどうかが確認できます。

サンプルコンテンツ ダウンロード
SCORM12_HelloWorld.zip
SCORM2004_HelloWorld.zip


コースを設定する

Moodleでは、コンテンツを登録するとき、まずコースを定義して、その中に学習コンテンツを登録します。
「新しいコースを追加する」を選択します。

そうすると「コース設定を編集する」という画面に変わります。ここでは、とりあえず最小限に、学習コンテンツをデフォルトの「Miscellaneous」カテゴリに設定して、「コース名」「コース省略名」「フォーマット」を設定します。ここで、「フォーマット」は、SCORMフォーマットを指定します。ちなみに、Miscellaneousは、「雑多」という意味ですが、未カテゴリと解釈するといいかもしれません。

「変更を保存する」を選択すると、次に学習コンテンツを実行できるユーザを登録します。「ユーザを登録する」ボタンをクリックして、ユーザを選択します。

これで、コースの設定、コースを実行できるユーザの設定ができました。

学習コンテンツを登録する

次に学習コンテンツを登録するには、コースを選択します。(「サンプルコース」を選択)

「新しいSCORMパッケージの追加」画面で、コンテンツの名称(SCORM1.2 HelloWorld)、説明、そしてパッケージファイルを登録します。

「保存して表示する」ボタンを選択すると、画面が切り替わり、「問題に入る」から、コンテンツの開始ができます。

SCORMの学習コンテンツは、このような形で表示されます。このコンテンツは、Initializeの値が、trueと表示される場合、きちんとSCOとしてLMSと通信ができていることを示しています。falseや空白の場合は、失敗しています。(例えば、LMSに載せず、ファイルをブラウザにそのまま表示させるとfalseとなります。)

同様に、SCORM2004のコンテンツも登録してみましょう。コンテンツを追加するには、左側のナビゲーションの「サイト管理」から「コース」>「コースを追加編集する」を選択して、「新しいコースを追加する」ボタンから同様に登録することができます。1つ目の登録では、なにもコースが登録されていなかったため、画面上に「親切に」コース追加のボタンが表示されていた感じでしょうか。

この程度のSCORM2004コンテンツなら、問題なく動作します。

(参考) ILIAS4.2.1 SCORM1.2、2004 HelloWorldコンテンツの起動
MoodleとILIASでどう違うかみてみてください。
moodle

Web Platform Installerを利用したMoodleのインストール その3

WebMatrixでデータベースを操作する

WebMatrixを利用すると、ちょっとしたメリットとして、データベースの管理も行うことができます。よくブラウザベースのphpMyAdminが利用されますが、WebMatrixでも簡単な操作は可能です。ウィンドウ左下に「データベース」ボタンをクリックすると、データーベースのツリービューが表示されます。

「Moodle」を選択すると、Moodleで利用されているテーブルがすべて表示されます。

ここで1つ、moodle.mdl.userテーブルを開いてみましょう。選択して右クリックでテーブルが表示されます。

クエリーの発行もすることができます。「ホーム」タブから「新しいクエリ」ボタンを選択します。

たとえば、下記のようなSQLを書いて、「実行」ボタンを押すと、抽出することができます。

select * from moodle.mdl_user
where username = ‘admin’;

CSVからデータのインポートなどの機能は付いていませんが、クエリを発行できることから、通常ほとんど事足りると思います。

Web Platform Installerを利用して、Moodleをインストールすることは、レア?なケースだと思いますが、いかがでしたでしょうか。WebMatrixは、設定次第では、本番環境のWindows Serverと組み合わせて、利用することもできるようです。意外と使えるツールだと思います。

moodle

Web Platform Installerを利用したMoodleのインストール その2

その1の続きです、ここでは、Moodleの設定を行います。

moodleの設定

前回は、moodle インストールの初期画面まで進みました。「Continue」をクリックすると、正常にインストールできるかチェックが動作します。

moodleの初期画面

ここで、1つphp_extensionのintlがひっかかりました。intlは、PHPのサイトをマルチリンガル化するときに利用される、国際化関数です。

リンクをクリックすると、どうすれば良いか、書いてあるので、これに従って、修正を加えます。下記の3行の記述が、php.iniファイルに設定されているか確認します。

extention=php_intl.dll
intl.default_locale = en_utf8
intl.error_level = E_WARNING

php.iniファイルは、下記ディレクトリにあります。
C:\Program Files\IIS Express\PHP\v5.3\
拡張子が、非表示で分かりづらい場合は、表示状態にすると、すぐ分かると思います。

ファイルを開き、[Ctrl]+F intlで文字検索をかけると、該当する記述がありますが、セミコロンで注釈扱いになっています。そのため、動作しなかったようです。ここでは、赤枠の2行を付け足します。セミコロンを取って書き換えても構いません。

もうひとつ、ExtentionListに登録されているか確認してみると、記述がないため、付け足し保存を行います。もしファイルを保存する権限がない場合は、書き込み権限を設定してください。

ブラウザに戻り、再読込みをすると、ステータスがすべてOKになりました。

インストールが始まり「Continue」で進めていきます。

Installationで、adminのパスワード、サイト名称などを設定します。

Full site name でサイト名称、そしてShort name for site で短縮名称を設定して、保存します。

保存すると、管理者モードでMoodleにログインした状態でサイトが表示されます。きちんと、サイト名称が表示されています。ただ英語モードになっているため、日本語で表示されるように設定を少し調整します。

左側の「Settings」のメニューにある、「Site administration」から、「Language Packs」を選択します。そして、「List of available languages」から「日本語」選択して「Install selected language pack」を押します。そうするとインストールされて、「Installed language packs」に日本語(ja)が表示されます。

日本語(ja)が追加されました。

日本語パックが入ったので、次にやることは、Language Settingsを選択して、サイトのデフォルト言語を英語から日本語に変更します。デフォルト言語は、新規アカウント追加や未ログイン状態で、設定される言語になります。

ログアウトすると日本語になります。

ただ、adminでログインすると、英語になっています。これは、adminのアカウントで使用する言語が、英語のままになっているためです。個人の言語を設定するには、「Settings」から「My profile settings」の「Edit profile」を選択します。

そのなかの、「Preferred language」の設定を英語から日本語に設定します。

これで、日本語がちゃんと表示されました。サイト全体のデフォルトの言語設定とユーザーごとのプロファイルの言語設定、2つあることに注意してくだい。ちなみに、右上のプルダウンで変更できる言語設定は一時的に変更したいときに使用するもので、ログアウトすると元に戻ります。

これでMoodleのインストールができました。

moodle

Web Platform Installerを利用したMoodleのインストール その1

Moodleとは

Moodle(ムードル)は、1999年にオーストラリアのMartin Dougiamas(マーチン ドウギアマス)氏により、開発されたオープンソースLMSです。現在、Moodle Pty Ltd(Moodle Headquarters)とコミュニティにより支えられ、もっともよく利用されているLMSの1つです。Moodleの特徴は、コミュニティの規模が、ほかのオープンソースLMSと比べ大きく、国内でも導入サポートを行う企業も存在し、大学などでよく利用されています。オープンソースLMSを探している方は、とりあえずMoodleを試されてみると良いかもしれません。

SCORMは、SCORM1.2に対応して、2004は、まだ完全ではないようですが、ELECOAなど、プラグインとして、SCORM2004に対応するモジュールが存在するため、インストールすることで、動作させることができます。

インストール

ここでは、検証・開発を目的として、Web Platform Installer3.0を利用して、Moodleのインストールを行ってみましょう。WebMatrix上(IIS Express、MySQL)でMoodleを動かしてみます。

Moodleのサイトでは、Web Platform Installerよりもっとお手軽な、Moodle packages for Windowsというパッケージがあります。この場合は、Apache、MySQLの組み合わせとなります。

ダウンロード

http://www.microsoft.com/web/downloads/v3/platform.aspx から、Web Platform Installerをダウンロードします。

ダウンロードしたら、アプリケーションを起動して、右上の検索フォームに moodle と入力して検索をかけます。

そうすると、英語版のMoodle2.3がヒットします(2012/8/5現在)。「追加」ボタンを選択して、「インストール」を行います。リリース時期によって、配布されるバージョンは異なると思います。

データベースは、MySQLしか選択できません。「コンピューターにインストールします。」そのままの設定で、「続行」します。

「同意する」を選択します。

MySQLのrootアカウントに対する、パスワードを設定します。

アプリケーションのダウンロードとインストールが開始されます。しばらく時間がかかります。

アプリケーション情報の入力を行います。データベースは「新しいデータべーすの作成」を選択して、データベース管理者のパスワード、データベースパスワードを設定します。そして、passwordsaltには、40文字以上の適当な文字を入力します。

入力して「続行」するとインストールが続きます。

これで一通り、インストールが完了いたしました。「起動」をクリックすると、WebMatrixが起動します。

URLの表示部分 この場合 http://localhost:56897 をクリックするとブラウザが起動してmoodleの初期画面が表示されます。WebMatrixを起動した直後、moodleの起動準備が動作しているため、準備が終わるまで、待ってください。いきなり、起動させるとエラーになります。


moodleの初期画面

LMS

SCORM対応 フリーウェア、オープンソースLMS 一覧

オープンソースLMSは、大きく2つに分類することができます。

  • 特定のベンダーによる開発
  • コミュニティ主導による開発(学術機関・団体など)

これらの特徴は、フリーでソフトウェアを配布していても

  • サポートの有無
  • エディションによる違い (オープンソース版は機能制限あり・商用版は機能制限なし)

さまざまな形で商用サービスに繋げています。また、研究や開発の成果物として、オープンソース化するケースもあります。

ここでは、LMSとは、

  • LMS (Learning Management System)
  • LCMS (Learning Content Management System)
  • CMS (Course/Class Management System)

を含めるとして、いくつかのLMSを紹介いたします。 誤りや足りないものがあれば教えて頂ければと思います。

MoodleILIASOpigno LMSCanvasSakai CLEATutorChamiloClarolineDokeoseFrontGanesha LMS
Open ElmsOpensourceLMS[国産]、ELECOA [国産]、SCORM Server4 [国産]

オープンソース

名称 Moodle
Webサイト http://moodle.org/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2
開発言語 PHP、MySQL
ライセンス GPL
オーストラリア
開発元 Moodle Pty Ltd
備考 ・日本語に対応
・国内では導入支援を行うベンダーも多く、大学など広く利用されている
ムードル (wikipedia)
日本ムードル協会
・SCORM2004 対応は中止。(Moodle pluginにより対応可能)
・サードパーティ製プラグインによりxAPI対応

名称 ILIAS
Webサイト http://www.ilias.de/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2、SCORM 2004 4th
開発言語 PHP、MySQL(MriaDB、Oracle)
ライセンス GPL
ドイツ
開発元 ILIAS open source e-Learning e.V.
備考 ・日本語に対応
・「はじめてのilias(評価や導入検討をしたい方への入門書」(長岡技術科学大学)

名称 Opigno LMS
Webサイト https://www.opigno.org/
SCORM対応バージョン SCORM 2004 3rd
開発言語 PHP、MySQL(MriaDB)
ライセンス GNU GPLv2
スイス
開発元 Connect-i
備考 ・DrupalをベースにしたLMS
・Learning Lockerなど外部LRSに接続可能

名称 Canvas
Webサイト http://www.instructure.com/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2、SCORM 2004
開発言語 Ruby (Ruby on Rails)、MySQL
ライセンス AGPLv3
アメリカ
開発元 Instructure
備考 ・オープンソース版と商用版に分かれる
・「Overview of Instructure Canvas」(Youtube)
・「Infrastructure Canvas Installation」(Youtube)
・「大学からBlackboardを根絶するためにInstructure(Canvas)が立ち上がる

名称 Sakai CLE
Webサイト http://www.sakaiproject.org/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2、SCORM 2004
開発言語 Java、MySQL
ライセンス ECL (Educational Community License)
アメリカ
開発元 Sakai Foundation
備考 Sakai Project (wikipedia)

名称 ATutor
Webサイト http://www.atutor.ca/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2
開発言語 PHP、MySQL
ライセンス GPL
カナダ
開発元 Inclusive Design Research Centre、OCAD University
備考

名称 Chamilo
Webサイト http://www.chamilo.org/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2
開発言語 PHP、MySQL
ライセンス GPL
ベルギー
開発元 Chamilo Association
備考 ・Dokeosの元開発者が開発している
・Clarolineからフォークしたもの

名称 Claroline
Webサイト http://www.claroline.net/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2、SCORM 2004
開発言語 PHP、MySQL
ライセンス GPLv3+
ベルギー
開発元 Clarolineコンソーシアム
備考

名称 Dokeos
Webサイト http://www.dokeos.com/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2、SCORM 2004
開発言語 PHP、MySQL
ライセンス GPL
ベルギー
開発元 Dokeos
備考 ・オープンソース版は、コミュニティエディション

名称 eFront
Webサイト http://www.efrontlearning.net/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2
開発言語 PHP (Zend Framework 1.8.3)、MySQL
ライセンス CPAL (Common Public Attribution License)
アメリカ
開発元 Epignosis
備考 オープンソース版は、SCORM1.2
・(商用)エンタープライズ版は、SCORM2004 4th対応
・オープンソース版 GitHub

名称 Ganesha LMS
Webサイト http://www.ganesha.fr/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2、SCORM2004 3rd
開発言語 PHP、MySQL・PostgreSQL
ライセンス GPL
フランス
開発元 anema
備考 オープンソース版と商用版に分かれる

名称 Open Elms
Webサイト http://www.openelms.org/
SCORM対応バージョン SCORM 1.2
開発言語 ASP、SQL Server
ライセンス GPL
イギリス
開発元 e-Learning WMB
備考 ・2006年にオープンソース化
Installation Instructions
・サポートは有償

名称 OpensourceLMS
Webサイト http://sourceforge.jp/projects/opensourcelms/
SCORM対応バージョン SCORM1.2、SCORM2004
開発言語 Java、MySQL
ライセンス NTTオープンソースライセンス
日本
開発元 組織化されていない
備考

名称 ELECOA
Webサイト http://elecoa.ouj.ac.jp/
SCORM対応バージョン SCORM1.2、SCORM2004 3rd
開発言語 PHP
ライセンス 三条項BSDライセンス(MoodleプラグインはGPL)
日本
開発元 千葉工業大学、放送大学
備考 ・2012年5月7日 公開
・Webサーバ版、オンラインデモ版、Moodleプラグインがある。
・PC単体動作版は、PCにインストールしてSCORMコンテンツの動作テストが行える。
・「2012/5/7 オープンソースSCORM 1.2/2004 エンジン公開」(eLC)



フリーウェア

名称 SCORM Server4
Webサイト http://www.yy-w.co.jp/SCORMServer/
SCORM対応バージョン SCORM2004 4th
開発言語 Java(Tomcat5.5以降)
ライセンス フリーソフト
日本
開発元 (有)ワイ・ワイ・ワールド
備考 ・2010年10月1日 Ver1.0 公開
・TestSuite対応状況 ほぼ100%

(2017/4/13更新)

ILIAS

ILIAS4.2.1 SCORM1.2、2004 HelloWorldコンテンツの起動

前回の続きで、UbuntuにILIASをインストールしましたが、実際にSCORMコンテンツが動くか確認してみましょう。

SCORM HelloWorldコンテンツ

動作内容は2点。

  • 「HelloWorld」の文字列を表示する。
  • SCOが起動したとき得られる、Initializeの戻り値を表示する。

HelloWorldを表示しただけでは、ぱっとみアセットと区別が付かない(面白くない)ため、Initializeの戻り値を取得します、これにより、ランタイム環境に接続できたかどうかが確認できます。

サンプルコンテンツ ダウンロード
SCORM12_HelloWorld.zip
SCORM2004_HelloWorld.zip


SCORMコンテンツを登録する

コンテンツは、「リポジトリ」で管理されます。

リポジトリ画面では、登録されているコンテンツが一覧されますが、まだ何も登録されていないため、空の状態です。「新規アイテムを追加」からコンテンツの登録を行います。

プルダウンが開くと、さまざまな形式のコンテンツを登録することができます、ここでは、「ラーニングモジュール SCORM/AICC」を選択します。

「SCORM/AICCパッケージをインポート」の設定項目の「タイプ」から4種類のコンテンツを登録できますが、ここで利用するのは、SCORM1.2とSCORM2004です。まず、SCORM1.2を選択して「参照」により、ZIP形式で1つにまとめたコンテンツの「インポート」を行います。

なぜかSCORM1.2(Java-RTE)とRTEがJavaアプレットで動作すると書いてありますが、RTEは、JavaScriptで動作します。

コンテンツが認識されると、下図のようになります、とりあえず確認だけですので、そのまま「表示」をクリックすると、コンテンツが起動します。

別ウインドウが起動し、「Hello World」の文字列、そして重要なのがInitializeの値です。trueが表示されれば、SCOとして正しく起動しています。falseや空白の場合は、失敗しています。(例えば、LMSに載せず、ファイルをブラウザにそのまま表示させるとfalseとなります。)

同じような要領で、SCORM2004も試してみましょう。「タイプ」のプルダウンで「SCORM 2004 3rd Edition(JavaScriptRTE)」を選択します。
なぜか3rd Editionと表記されてますが、ILIAS 4.2では4th Edition対応と謳っています。ILIAS 4.2 Features

このようにILIASは、SCORM1.2、2004のコンテンツが動作することが分かりました。

(参考) Moodle2.3 SCORM1.2 SCORM2004 HelloWorldコンテンツの起動
MoodleとILIASでどう違うかみてみてください。
ILIAS

UbuntuにLMSのILIAS4.2.1をインストール

ドイツのオープンソースLMS、ILIAS(イリアス)を使ってみましょう。

ILIAS(イリアス)とは

ILIASは、1998年(11/2)にドイツのケルン大学で開発された学習管理システムです。もともと経営学部など学部内の利用を想定として開発されましたが他大学からの関心が高まり、2000年にGPLとして公開されました。2002年から2004年にかけては、スクラッチから再開発され、ILIAS3としてリリースされました。

その後、2004年にSCORM 1.2、2007年にSCORM 2004(3rd Edition)に対応し、ADLから認定を受けました。ILIAS4.2では、現行最新バージョンのSCORM2004(4th Edition)にも対応しました。(※4thは、ADLの認定は受けてないと思います)

ILIASは、アカウント管理、ロール、コースウェアの配信のようなLMSの基本機能だけでなく、教材作成ツールも付いており、ブログ、wiki、フォーラム、チャットなどCMS、コミュニケーションツールとしても利用することができます。日本では、まだ無名に近く情報もほどんとありませんが、日本語にも対応しているため、比較的、利用しやすいソフトウェアだと思います。LMSの選定で、ほかのオープンソースLMSがどうも肌に合わないときは、候補として検討してみてもいいかもしれません。

ILIAS公式サイト
http://www.ilias.de/
ILIAS wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/ILIAS


インストール

ILIASは、PHPで作られたソフトウェアです、インストールする主なソフトウェアは、apache、PHP、MySQL、Javaです。今回、使用するOSは、Ubuntu11.10のデスクトップ版を利用します。とりあえず、最低限の構成で必要なものは後からインストールしたいと思います。

インストールするもの

apache2
php5
php5-gd
php5-mysql
php5-xsl
php-pear
htmldoc
imagemagick
openjdk-7-jre
phpMyadmin
mysql-server-5.1

Ubuntuのパッケージリストを取得・更新、インストール済みのパッケージをアップグレード

sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade

Apache、MySQLのインストール

sudo apt-get install apache2 php5 php5-gd php5-mysql php5-xsl php-pear htmldoc

この状態ではPHPは、まだ動作しないため、有効にするためにapacheを再起動する。

sudo /etc/init.d/apache2 restart

/var/www/ のオーナー、グループを(apacheの実行ユーザー)www-dataに変更する。

sudo chown -R www-data:www-data /var/www/

グループが、ファイルの読み書きができるよう権限を与える。それ以外はアクセスを与えない。

sudo chmod 770 /var/www/

グループwww-dataにログインユーザを入れる。ファイルを作成した場合、ファイルグループがwww-dataになるようにします。変更したら、有効にするため一度ログアウトして、ログインしてください。

sudo usermod -g www-data ログインユーザID

imagemagick、Java、MySQL、phpMyAdminのインストール
MySQLのルートユーザに対してのパスワードを設定するダイアログがでてくるので、パスワードを設定してください。phpMyAdminは、自動再設定で、apache2を選択して、コンフィグの設定でMySQLで設定したパスワードを入力します。

sudo apt-get install imagemagick openjdk-7-jre mysql-server-5.1 phpmyadmin

SCORM1.2のコンテンツアップロードのさい、サーバー内でJavaが動作しているようで、JREが必要となります。
phpMyAdminのサイトアドレスは、http://localhost/phpmyadmin/ となります。


ILIASのダウンロード

公式サイトからダウンロードします。

解凍を行い、/var/www/の中に移動します。

権限を設定。オーナーとグループをwww-dataに設定し、グループに対して、読み書きの権限を与えます。それ以外はアクセスを与えない。

sudo chown -R www-data:www-data /var/www/ilias
sudo chmod -R 770 /var/www/ilias

ILIASが利用するデータフォルダの作成と権限の設定。

sudo mkdir /opt/iliasdata
sudo chown www-data:www-data /opt/iliasdata
sudo chmod 770 /opt/iliasdata


セットアップ 準備

ブラウザからILIASに接続します。準備の項目がすべてOKが付けば、最低限の項目はクリアしています。また、セットアップを日本語で表示するため、「Choose your Language」のプルダウンから「Japanese」を選択します。
この言語設定は、セットアップのみ、その言語で表示するものです。

http://localhost/ilias/



基本設定

「Webの外部データディレクトリ」、「ログファイルのPath」、「タイムゾーン」「マスターパスワード」を設定します。

「Webの外部データディレクトリ」 /opt/iliasdata
「ログファイルのPath」 /opt/iliasdata/ilias.log

新規クライアントの作成

データベースの選択は、MySQL5.0.x or higherで保存します。

クライアントID は、適当な文字列を入力。
データベースのパスワードに、MySQLのパスワードを設定します。


データベース

データベースにILIASで利用するテーブルを構築します。
「データベースの作成」にチェックを入れて、「データベースのインストール」を選択します。

言語

日本語が表示されるように、日本語にチェックをいれます。

コンタクト情報

必須項目の名前とメールアドレスを登録します。

登録

ILIASのコミュニティーサーバ接続できるようにするか登録するものです。とりあえずしないので、「登録をスキップ」を選択します。

セットアップを終了中

これで初期登録は完了です。

ログインと日本語表記

ログイン画面に移動して、ユーザID: root、パスワード: homerでログインできると思います。

ただ、ここでログインをすると、中のサイトは英語表記になっているため、日本語に切り替えます。
セットアップの言語設定で、英語の選択を外し日本語のみにすると、この画面は日本語で表示されます。

「Parsonal Desktop」のメニューから「Settings」を選択します。

「General Settings」の「Language」のメニューから、「Japanese」を選択して「Save」をします。

そうすると、サイトが日本語で表示されるようになります。

このように、ILIASは、比較的簡単にインストールを行うことができます。

eラーニングコトハジメ

LMSとデータベースの移行

データベースのLMS依存

SCORMは、さまざまなLMSで同一の学習コンテンツを動かすことができます。それを相互運用性といい、LMS依存を無くすSCORMのメリットとされています。

ここで少し考えてみてください。これでLMS依存がなくなったと言えるのでしょうか。学習コンテンツを作る立場からすれば、無くなったと言えるかもしれませんが、LMSを運用する立場の人は、SCORMに対応しているLMSだからといって、ほいほい別のLMSに移行することは可能でしょうか。既に運用フェーズに入っている場合、データベース上のデータを移行できるかは、大きな問題になるでしょう。

SCORMは学習データの記録形式を問わない

SCORMの規格は、LMSと学習コンテンツとの間にルールをもうけたものです。規格に沿っていれば、LMSはどのようなプログラム言語、データベースで作られていても構いません。A社 LMSからB社 LMSに移行するさい、学習コンテンツは、移行できるかもしれませんが、データベースに格納されている学習進捗などの学習データは移行できるでしょうか?

もし方法論を考えれば2つあります。

  • LMSには、学習データのエクスポート機能が付いていて、それを利用する。
  • LMSのデータベースを調査し必要なデータを抽出する。

どちらも、頼りない方法論ですね。LMSにエクスポート機能が付いていなければ、CSVファイルなどに落とすことはできません。そして、ベンターが設計したデータベースのテーブルを調査することなんて、あまりしたくないですよね。そもそも、データベースがアプリケーションに組み込みDBであったり、クラウド利用でのLMSは、データベースそのもの見ることはできないでしょう。移行先のLMSも同じようにインポート機能が付いているか問題になります。

このことから、SCORMに対応したLMSであっても、LMS間の学習データの移行は、非常にやっかいです。オープンソースLMSなら、ちょっと挑戦してみようという気も起きるかもしれませんが、移行元、移行先のLMSに対して移行可能かどうかを見極める必要があるでしょう。

視点の違いからSCORMは、次のことが言えるでしょう。

  • コンテンツ視点 – さまざまなLMSで動作することがメリットとなる。SCORMと言えばコンテンツ視点が多い。
  • 運用視点 – SCORMだからといっても、データベース上の学習データが移行できなければ、メリットはあまり感じられない。

LMSの移行(引越し)は、コンテンツだけ移行できても不十分です。データベースに登録された学習者、受講履歴などを「どうするのか?」考える必要があります。

eラーニングコトハジメ

標準規格と互換性の問題

標準規格

SCORMの規格はADL(Advanced Distributed Learning)という組織が規格を定めています。HTML、CSSでいう所のW3C(World Wide Web Consortium)みたいな感じです。

現在、利用されているSCORMは、SCORM1.2とSCORM2004の2つがあります。SCORM1.2は、2001年に策定され、2004年にSCORM2004ができました。その後、SCORM2004は、仕様の明確化、機能追加を目的として3回アップデートされました。現在の最新のバージョンは、2009年にリリースされた、SCORM 2004 (4th Edition)になります。

2000 SCORM Version 1.0
2001 SCORM Version 1.1
2001 SCORM Version 1.2
2004 SCORM 2004 (1st Edition)
2004 SCORM 2004 (2nd Edition)
2006 SCORM 2004 (3rd Edition)
2009 SCORM 2004 (4th Edition)

(参考 wikipedia.org)

ベンダーLMSのなかには、「SCORM対応」と謳っていながら、型落ちの古い規格 SCORM1.2しかサポートしていないものがあります。SCORMに対応したLMSを採用するときは、SCORM1.2で十分なのかSCORM2004も必要なのか考慮する必要があります。

互換性の問題

SCORMには、HTMLやCSSと同じような問題を抱えています。Webデザイナーなら一度は経験していると思いますが、ブラウザによって見栄えがちょっと違ったり、また、サポートされていないタグが存在します。これは、W3Cが、HTML/CSSの仕様を作っても、実装するのはブラウザメーカーに任されているためです。実は、SCORMでも同じようなことが言えます。

SCORMの場合、HTML/CSSのような構造・見栄えの問題ではなく、LMSが学習コンテンツを認識しなかったり、文字化けが起きるなど、期待通りに動いてくれない問題です。
またSCORM1.2は、準拠レベルというものがあり、いくらSCORM対応LMSといっても、準拠レベルが異なれば、ほかのLMSに学習コンテンツを移植するさい動作しない場合があります。HTMLでいうところの、サポートされているタグが異なるケースです。SCORM2004では準拠レベルというものはありませんが、1st~4th Editionのマイナーバージョンアップによる機能の違いがでてきます。

現在は存在するか把握してませんが、昔のSCORM準拠のLMSは、もともとは独自仕様のLMSを改良してSCORMに対応したものがありました。そのため、学習コンテンツを登録すると、独自仕様のルールに自動変換されたものがあったそうです。

このようにみると、相互運用性を犠牲にした独自仕様と、相互運用性を保つものの互換性にやや不安が残るSCORM準拠、どちらがいいのか分からなくなってきます。聞いた話では、SCORM2004では、10個ぐらいのLMSに対して、同一の学習コンテンツを載せたら、8つ程度は、一発で動作したという話を聞いたことがあります。SCORM1.2に比べれば、SCORM2004は大きなトラブルが起きる可能性は、少なくなっているようです。

また、コンテンツ制作者の頭の痛いところは、HTMLを作る場合、手元にさまざまなブラウザをネットから無償でダウンロードできるので、動作確認をすることは容易ですが、LMSの場合は、有料なものも多くあるため、制作会社は、手元で動作確認ができない場合があります。「規格どうりに作ったはずなんだけど・・・動かない。。」というケースもあるでしょう。そのため事前に、利用されているLMSの動作を確認するなど必要がでてくるかもしれません。

こういった状況があるため、日本では日本イーラーニングコンソシアムが、LMSや学習コンテンツに対して、認証制度を設けています。テストケースに合格した認証済み学習コンテンツは、認証済みLMSに対して動作する可能性は高く、オレオレSCORM対応したLMSや学習コンテンツがあるなか、ベンダーにとって、顧客に対して安心感を与える一つのアピールに繋がっているようです。